オンライン宅配ボックスへの交換が急増中
宅配ロッカーは今やマンション生活に欠かせない必需品となった。その主流はオンライン(ネットワーク型)と言われる宅配ロッカーと監視センターが24時間365日つながっているタイプのロッカーだ。
宅配ロッカーが世に登場してはや30年になるが、監視センターとつながっていないオフラインタイプから、オンラインタイプに入れ替えるマンションが増えてきた。
宅配ロッカーのパイオニアはフルタイムシステム(本社東京、原幸一郎社長)だ。第1号機を設置してから30年が経つ。分譲マンションでのシェアは7割を超す。
同社の宅配ロッカーの最大の特徴は監視センター(FTSコントロールセンター)と宅配ロッカーがオンラインで結ばれている点だ。「ロッカーが開かない」「操作キー、カードを紛失した」などといったトラブルが起きても安心だ。
ロッカーが開かない場合でも、監視センターから遠隔解錠が可能。操作カードを紛失した場合でも、本人確認をした上で遠隔解錠ができる。
これがオフラインだとやっかいだ。ロッカーが開かない場合、「管理」担当者に連絡、その担当者が到着するまで待たないといけない。深夜や早朝となるとお手上げだ。オンラインなら24時間365日対応可能だ。
フルタイムシステムには、こうしたオフラインタイプを同社のオンライン宅配ロッカーに切り替えたいとの相談が急増している。
監視センターを利用できることが交換の決め手
山口県山口市にある「コープ一の坂グリーンマンション」(築22年10階建て55戸)も2011年9月に他社のオフラインタイプから同社の宅配ロッカーに入れ替えた。
同マンションの管理組合は入居以来自主管理体制を続けている。「ロッカーが開かないといったトラブルはすべて組合役員が対応していた。役員の大きな負担となっていた」と語るのは、同管理組合の武永清實理事長だ。
マンションにはカード式のオフラインタイプが設置されていた。「入居者が入れ替わるたびに、前の人のカードを破棄して新しいカードを発行しなければいけない。
カードが磁気テープだったので、壊れて反応しないことも起きる。薄い封書も感知しないことも多く、その度に5人の理事で対応しなければならず、大変だった」(武永理事長)
「宅配ロッカーは荷物の〝預かり〟〝受け渡し〟をするもので〝信用〟が大切。管理組合は自主管理なので住民同士はお互い様という気持ちはそれぞれ持っているが、役員の対応で信用をなくすと管理組合への信頼もなくしてしまうだけに、本当に負担が大きかった」(武永理事長)
こうした管理組合役員にかかっていた重荷が、フルタイムシステムの宅配ロッカーに交換したことで「重荷がとれて本当に助かっている」と武永理事長はしみじみ語る。
書留郵便の受け取りが可能となり便利に
また、同ロッカーの魅力を「書留郵便」を宅配ロッカーで受け取れることとも話す。
「今やクレジットカードも書留で送られてくる。今までは郵便局本局まで受け取りに行かなくてはいけなかった。マンションから本局まで歩いて10分もかからないが、そのためにわざわざ行くのも煩わしかった。それが不要になったからありがたい」(武永理事長)
実は書留郵便を宅配ロッカーで受け取れるようにしたのは、平成11年に同社が旧郵政省に働きかけた結果だ。同社の宅配ロッカーにはカーシェアや自転車共用システムなど利便性の高いサービスシステムを付随できる。
「山口は道路事情はすごくいい。車がないと生活できないほどだ。年をとると車を手放す人が出て来ると思うが、近い時期カーシェアを考える時が来るかも知れない」と武永理事長は将来を構想する。
掲載:マンション管理新聞
2015年(平成27年)6月25日発行
追記
宅配ボックスの管理組合による自主管理は非常に手間がかかります。宅配業者も管理員さんや管理会社さんのお手を煩わせてしまうことに気が引けてしまうようで、暗証番号式の宅配ボックスでは、暗証番号の書き間違いや、ミスを恐れて入庫せずに持ち帰ってしまう人が多数いるようです。
せっかくの宅配ボックスもセキュリティ的に不安のある暗証番号を設定するタイプの旧式では宅配業者に使ってもらえないので非常にもったいないです。
オンライン宅配ボックスへの交換が急増している背景にはこのような事情もあるようです。