暗証番号式の宅配ボックスを宅配業者さんが敬遠する理由
ネットオークションを頻繁に利用しておりますナビ美は、宅配会社の方と個人的にお話をさせていただく機会がよくあります。今回は宅配会社の方から見た「宅配ボックス利用事情」についてお話を進めてみたいと思います。
きっかけは、ネットオークションの取引相手から「発送伝票に(受取人が許諾しています。宅配ボックスを利用して下さい。)と添え書きを入れて下さい。」と言われた事でした。
暗証番号式はトラブルが起きやすい
宅配ドライバーさんに「宅配ボックスを利用しないの?」と尋ねてみたところ、「宅配業者が暗証番号を設定するタイプの旧式の宅配ボックスではトラブルが多いため、基本的に不在の場合は持ち戻りと決められているんです。」との回答でした。
宅配ボックスはコインロッカーの様な見た目で、受取人が不在の際に宅配業者が荷物を預け入れできる設備です。受取人は24時間いつでも荷物を受け取れます。
最新式のものは使い方が違いますが、旧式の宅配ボックスはロッカー扉を宅配業者が任意で4ケタの暗証番号を設定してロックします。
扉を開けるには設定した暗証番号が必要になりますので、宅配業者は受取人の郵便ポストに暗証番号を記載した不在お届け票を投函する事で荷物の受け渡しが成立します。
しかしながら、この暗証番号記載のお届け票を郵便ポストから取出し、荷物を盗み出してしまう犯罪や、荷物を受け取っていないというクレームが多いため、宅配会社さんによっては利用を敬遠されるのだそうです。
また、宅配業者による暗証番号の書き間違いや入庫ミスもあり、管理員さんや管理会社さんのお手を煩わせてしまうことに気が引けてしまうともおっしゃっていました。
管理人の負担を解消
そもそも宅配ボックス誕生のきっかけは、宅配物を一時的な預かりが多かった管理人さんの負担を解消するためでした。それが利用者にとっても好きな時間に荷物を受け取れると好評で、生活に無くてはならない存在となりました。
マンションなどの集合住宅だけではなく、戸建て用の宅配ボックスも一般的になってきた現在、一部の方が運用の穴をつくことで便利なツールが利用できなくなるなんて悲しい事ですね。
ナビ美が住んでいるマンション(6階建て総戸数20戸未満、築11年)にも宅配ボックスがありますが、今まで宅配ボックスのトラブルを聞かなかったので「宅配ボックスを利用できない宅配会社や受取人」が存在する事を調査するまで知りませんでした。
この調査を進めていくうちに最近の宅配ボックスは、こういったトラブルを解消できる上に、凄いサービスがついている事を知り、目からうろこがポロポロ落ちるナビ美でございます。
解錠は操作キーで
最新の宅配ボックスは操作キーによって扉を解錠するので、暗証番号を抜き取るトラブルを回避できます。操作キーには磁気カード、ICカード、キーヘッドにICチップが埋め込まれたタイプがあります。
操作キーには個別に居住者情報が登録されていて、ロッカー本体、もしくは管理センターの情報と照合して解錠されるのでセキュリティー面は安心です。
大型マンションではセキュリティー強化の観点からエントランスへのオートロック設置がほとんどです。エントランスや専有部の鍵として宅配ボックスの操作キーを利用するオプションもあるようです。
使い方も専用の操作キーをロッカーにかざしたら音声案内に従ってボタンを押すだけなのでお子様でも簡単に荷物を取り出すことができます。
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24時間遠隔監視
ネットワーク型の宅配ボックスはインターネット回線で管理センターとつながっていて、利用者さんのトラブルを24時間体制で対応してくれます。
操作ミスや操作キーの紛失時など、宅配ボックスに備え付けの電話からセンターのスタッフと会話で相談ができ、遠隔操作で扉の解錠をしてくれます。
自主管理タイプの宅配ボックスですと、『管理会社に連絡』→『管理員さんの到着を待つ』→『本人立ち会いのもと解錠』と、大変手間がかかります。
このような管理上の負担を軽減するため、オンライン宅配ボックスへの交換を進めるマンション管理組合も急増しているようです。
発送サービス
荷物を受け取るだけでなく、荷物の発送にも利用できます。荷物を宅配ボックスに預け入れると、提携の宅配業者が引き取りに来てくれるので重たい荷物を営業所に運ばなくてすむし、待つ必要もありません。
また、契約によってはクリーニングの宅配サービスも可能です。主婦としてはかなり便利で羨ましいサービスです。お洋服を宅配ボックスに入庫するだけでクリーニング会社が引き取り、後日仕上がり品を宅配ボックスで受け取りできます。
メール通知サービス
宅配ボックスに荷物が届くと、登録したメールアドレス宛にお知らせしてくれるサービスです。外出中でも荷物の到着確認ができて便利です。また、うっかり数日間取り忘れていても再度お知らせしてくれるので安心です。
目的に合わせて選ぶ
宅配ボックスは種類が豊富なので住宅の規模や目的に合わせて選びましょう。ただし注意が必要です。宅配業者が暗証番号を設定する機械式の宅配ボックスは金額的に導入しやすいですが、トラブルが起きやすくそもそも使ってもらえないかもしれません。
ねとらぼが自作の宅配ボックスでの受取り可否を各配送業者に問合せたところ、日本郵便は「事前に最寄りの郵便局に申請をすれば、宅配ボックスでの受け取りは可能」との回答で、ヤマト運輸は対面での受け渡しにしか対応しておらず「宅配ボックスへの配達は不可」と回答したようです。
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戸建宅配ボックス
集合住宅の魅力といえば充実した共用設備やサービスです。戸建住宅でも同様に便利なサービスを利用したいニーズは根強くあり、早くからメーカー各社は戸建住宅用の宅配ボックスの提供を始めていました。
そこへ近年、宅配便の再配達問題がメディアで取り沙汰される機会が増えたため、宅配ボックスの認知が拡大。結果、戸建住宅への宅配ボックス導入が急速に進むようになりました。
宅配便を受け取るだけではない付加価値サービスに魅力を感じている方が多く、集合住宅と同様にクリーニングの受渡しや荷物の発送ができるタイプの宅配ボックスが人気です。
荷物の取り出しは配送業者が決めた暗証番号ではなく、自分が任意で設定した暗証番号で行うコンピュータ方式なのでセキュリティも安心です。据え付けや埋め込みなど設置方法にも自由度があります。
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ポスト一体型宅配ボックス
宅配ボックスをこれから導入されるマンションの中には設置スペースの問題に頭を悩ませるシーンも少なくありません。導線、セキュリティー、美観など、エントランスの限られた構造の中で検討事項は沢山あります。
そんな時は集合ポストと宅配ボックスが一体化したタイプを設置するのがおすすめです。フラットなデザインでエントランスの美観も向上します。
賃貸マンション専用
賃貸マンションを専門に扱っている宅配ボックスもあります。ネットワーク型ほどの利便性は求めていないけれども、管理メンテナンスがしっかりついて、セキュリティーがしっかりしているものをお求めの賃貸オーナーさんにはぴったりです。
しかも、リース契約なので費用面でも無理なく導入ができます。賃貸物件の選択条件に宅配ボックスを必須とする方は年々増えています。欲しい設備ランキングでも上位に入るほどです。
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ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。