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平成16年の標準管理規約の大幅改正のポイント

公開日:  最終更新日:2014/11/28

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管理規約が重要であるという事を前回からご説明させて頂いておりますが、国土交通省ではガイドラインの標準管理規約を平成16年に大幅に変更しています。

改正ポイントから見えてくる予想されるトラブルポイントをご紹介してまいりたいと思います。

改正の理由

現在、日本には築後30年を経過したマンションが20万戸近くあり、2024年には100万戸になると計算されており、今後は大規模修繕や建て替えを検討しなくてはならないマンションが急増するといわれています。

不況の影響からくる管理費未納問題や防音や断熱といった環境問題やセキュリティに対する警戒心の向上、住民間及び近隣住民とのコミュニケーションの必要性などマンションを取り巻く様々な問題が浮上した事が改正のきっかけとなったといわれています。

建て替えに関する改定

今後、急増すると予想される老朽化マンション問題を円滑に進める為に、建て替えに関する条項が細かく付加されました。「建て替え」は区分所有者が新しく建替えられたマンションに自動的に入居できる訳ではありません。

定期的なメンテナンスや修繕の手が加えられることなく経年劣化したマンションは修繕積立金の認識がない場合が多く、更にトラブルを抱える事も多いようです。

建て替えも取り壊しもままならない幽霊マンションが今後は増える可能性があるのかもしれません。

電子化に関する改定

ライフスタイルが違う様々な方が集まるマンション。また、昨今はPCや携帯端末の利用も多く郵便文書でのやりとりがめっきり少なくなってきております。

日常的に利用している事が多いPCや携帯端末などを利用して決議書やアンケート回答などを有効にする事で1人でも多い意見の聴取が出来ると考え設定されました。

またトラブルを避ける為に電子化を利用する場合の規定、利用しない場合の規定も盛り込まれています。

決議要件に関する改定

絶対ではありませんが、築年数が経過したマンションは入居者も年齢を重ねている為、高齢者が多くなりエントランスなどのバリアフリー化やセキュリティの向上など必要に迫られる修繕工事が発生する場合がよくあります。

しかし、旧法では4分の3以上の特別多数決が必要となっており必要な工事が進まず、建物の資産価値を下げる場合がございました。今回の改正では工事などの内容に応じ半数の普通決議でも良いとするように改正されました。

最近のトラブルは修繕工事が特別決議による工事か?普通決議によるものか?の判別がつかず、工事反対派が決議の無効を訴えるなど大きなトラブルと発展する場合もあるそうです。

修繕などの履歴情報の整理・管理

前回、中古マンションを購入された方のリフォームトラブルについて記述させて頂きましたが、今後老朽化マンションが増えていくことを想定すると、同じようなケースが急増する事も想定されます。

修繕情報などが履歴として整理されていれば新規入居者も予想される修繕工事についての把握やそのマンションの資産価値維持向上に対する意識を見る事ができ、有益な情報となります。

国土交通省では、管理組合が修繕情報などを整理・管理する作業をするうえでマンション内でコミュニケーションが活発となり、これから想定される大掛かりな大規模修繕や建て替え問題などについても円滑な運営が出来るように期待しているようです。

環境・防犯問題に対する規定

中古マンションを購入された方が防音対策として二重窓を設置しようとしたが「共用部分の改修は駄目」といわれたなど、リフォームトラブルとして取り上げられる事が多かった問題。

この改正では防音や防犯、断熱など住宅の性能の向上や省エネなどで地球環境に役立つ工事については、管理組合が計画修繕の中に取り入れることが定められました。

費用などの問題で管理組合が工事を実施できない場合は、その区分所有者が自費で行うことが出来、後に管理組合が工事を実施する場合、費用負担をどうするかなどの細則を設定する事ができるようになっています。

今までは原則禁止されていた共用部の変更が可能となり、騒音問題などのリスクを軽減させる可能性もみえる法改正です。マンション管理組合によっては、今回の改正案を取り入れていらっしゃらない管理組合もあるかと思います。

専門家を活用しましょう

平成13年から国土交通省は新たな国家資格として「マンション管理士」という資格を設定しております。

この改正ではマンション管理に伴う様々な問題をマンション管理士をはじめとする各分野の専門的知識を有する者に相談やアドバイス、指導を求める事ができ、その費用を管理費から支出できると定めました。

平成13年以前までは、マンションにおける問題は建築士や弁護士に相談するのが一般的であったのですが、現在の様にマンションの数も増え、トラブルの種類も多種多様になってきました。

そこで、より身近に相談が出来る「マンション管理士」という専門家が作られたという事が読み取れます。マンション管理士については、また別記事にてご紹介して参りたいと思います。

築年数や環境、住民の考え方も様々に異なって参りますので、全ての改正案を取り入れる必要は無いかと思います。現状とより良いマンションに住むための未来を踏まえ、現在の管理規約を見つめなおすきっかけとして頂ければ幸いです。

ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。

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