口下手でもちょとの工夫でコミュニケーション能力はアップする
「コミュニケーション」というのは、ふとした事がきっかけでトラブルに陥ったり、交渉事が上手く進んだりと、使いようによって大きく人生が変わってしまう大切な能力の一つです。
最近のナビ美の仕事の一つに、関西の某マンション(12階建て総戸数55戸)の管理組合オブザーバーというものがございます。
偶然に訪れたモデルルームで知人と出会った事がきっかけとなり、その後のマンション運営に関わりますアドバイザーとしてデベロッパー会社担当者、管理会社フロントマン、管理組合役員様などとお話をする機会を頂いております。
それぞれの方とお話をしていて感じましたのは、「話し方」の癖というのは人の心に大きく影響を及ぼすものだという事です。「話し方」というのは、育ってきた生活環境や習慣などである程度は決定しますがちょっとしたコツで、素敵な聞き上手、話し上手になることが出来ます。
「交渉事をスムーズに進められたい方のご参考になれば」と思い、様々な事例をあげてシリーズにて解説してまいりたいと思います。
話し下手な方の共通点と2つのパターン
「話し上手、話し下手」というのは個人の主観が大きく関わっているところではございますが、ご自身が「人と話をするのが苦手で。。。」とおっしゃる方には大きな共通点と2つのパターンがあります。
その1:性格だからと諦めてしまう。
一つ目のパターンの方は、「性格だから」とあきらめていらっしゃる方です。「もっと上手く話せるようになりたい」とおっしゃっていながら、上手に話される方のお話を聞いて「自分には無理だ」や「自分のやり方と違うから出来ない」などと理由をつけて改善する努力をされない場合です。
このマンションの建築中のモデルルームには、AさんとBさんという2人の担当者がいらっしゃったのですが、お客様からの複雑な質問に対する回答の際に、必ずBさんが答えていらっしゃいました。
後で理由を聞いてみるとAさんいわく「どうも私が話をするとお客様がイライラされるので、ちょっと答えに困るような質問の際はBさんに代わってもらってるんです。」
折角、豊富な知識をお持ちなのに、お客様に上手く伝える事が出来ないと思い込んでしまわれてコミュニケーション力の向上努力をやめてしまわれた残念なケースです。
その2:下手でも一生懸命ならと、他力本願。
二つ目のパターンは「下手でも一所懸命に伝えれば、相手はわかってもらえる」と他力本願の場合です。分かりにくい言葉を相手に伝わりやすい言葉に言い換えるような努力はせずに、「一所懸命に話しても伝わらないなら仕方がない」とあきらめてしまう場合です。
こんな事例がございました。マンション総会時に、管理費の見直し案が提示された際、Cさんは駐車場の事や屋上看板の事などをお話されていましたが、途中で議長から「本題と外れているので別の時に伺います。」と話をさえぎられてしまいました。
後で、お話を聞いてみると「屋上看板の夜間照明電気代が管理費に含まれているのでは?見直しの前に、無駄な出費が計上されていないかひとつずつ確認してみませんか?」という事を仰られたかったそうなのです。上手く言葉にまとめる事ができず、議長に止められたので「もういい」とあきらめてしまわれたようです。
どちらの場合も「現状維持でいい」「自分を変えてまで何かを得ようとは思わない」という気持ちが強い為、いつまでたっても何も変化しないというパターンに陥ります。結局、他人と意見での衝突をすることが多く、その場合も「相手が悪い」と思いがちです。
こうなると、それ以上のコミュニケーションをとろうとする努力も投げ出してしまう為、いつまでたっても上手なコミュニケーションがとれずに「自分は正しい=相手は悪い」の公式のまま、状況もコミュニケーション力も対人関係も改善できないままという最悪のケースが続くだけとなります。
ちょっとの工夫がコミュニケーション力を高める
誰でもそうですが、自分の意見が伝わらないとイライラしてしまいますよね?「どうして、こんな事がわからないんだろう」と相手が理解してくれない事について思い悩むあまり、自分自身に余裕がなくなっていませんか?
心の余裕があれば、「別の言い方をすれば理解してもらえるだろうか?」など話し方を変える、アプローチを変えてみるなど工夫する事により、コミュニケーション力が自然と高まってくる事に繋がります。
次回から、AさんとCさんのコミュニケーション力をUPさせる為に、ナビ美がお勧めした具体的なコツをご紹介してまいります。
ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。