マンション老朽化問題と修繕費の見直し
今回は「マンションの老朽化」について取り上げてみたいと思います。ナビ美のマンションは管理組合もしっかりとしておりましたので、大規模修繕1回目は予算内で滞りなく完了しました。
現在、第2回大規模修繕に向けて着々と話し合い中です。しかし、分譲マンションの中には管理組合がなかったり、試算の間違いで修繕が進んでいないマンションもあります。
大規模修繕を行わなかった場合
近年のマンションでは管理組合を立ち上げ、老朽化を少しでも遅らせるための対策として10年ごとに「大規模修繕」と銘打ち劣化するであろう箇所、劣化した箇所を修繕。補強し、長く住まえるように区分所有者全員で協力して管理するシステムができています。
しかし、「分譲マンション」が誕生した1950年代~1970年代のマンションでは、将来に備える組合方式が少なく修繕を行うことなく、老朽化しているマンションが存在しています。
早急に管理組合を立ち上げ大規模修繕を行うことにしても、マンションの規模や戸数、老朽化の状態によりますが区分所有者の一時金の負担は、最低でも100万以上はかかるでしょう。
総会で大規模修繕をする旨の可決をし、全員がお金を用意できなければ修繕は行われないままになります。また、老朽化が深刻であれば、他の方法も視野にいれなければなりません。
例えば建て替えという方法
例えば、深刻な老朽化のため、総会で建て替えが可決されたとしても、建て替えをするには以前のマンションの総戸数より多くの部屋を造る事が出来なければ売却益がでませんので、デベロッパーを見つけることは非常に難しいでしょう。
また、1970年代以前のマンションは、当時の建築基準法の基準で建てられている為、建て替え時には容積率が変わっており以前のマンションよりも小さくなってしまう為、建て替えが出来ないという状況になるマンションが過半数を超えています。
リノベーション
建て替えは出来ない、区分所有者全員での修繕も出来ないとなった場合、リノベーションという方法があります。
これは、メーカーやファンド会社がマンションを区分所有者から買い取ったのち、修繕やリフォームを施しマンションを賃貸物件として再生させるという方法です。
区分所有者の手元にはマンションの売却収入が入りますので、住み替えを検討することが出来ます。しかし、よほど立地条件が良くないと、買い手となるメーカー、ファンド会社が出現しないという現状があります。
最終手段
極端なお話ですが、修繕費が捻出できない、建て替えも駄目、リノベーション先も見つからないとなると最終的には区分所有権を解消する方法しか残されません。
しかし、区分所有権の解消は所有者全員の賛成が必要となります。マンションを解体し、区分所有権の割合に応じて土地の売却益を分けて解消します。
土地売却益がマンション解体費用を上回る場合は、残金を区分所有権の割合に応じて分売します。しかし、マンション解体費が捻出できない場合は、そのまま幽霊マンションとして放置される結果となります。
(3.11震災時に被災マンションの区分所有権が解消できずに全壊判定されたマンションの解体が出来ないという問題が発生したため、被災マンションに限り、5分の4以上の賛成で区分所有権が解消できるように法律が改正されました。
今後、老朽化の進むマンションが増えていく可能性のあることから、一般マンションにも5分の4以上の可決法が適用される日も遠くはないかもしれません。)
少しでも長く住むために
長期的スパンで管理費、修繕積立金を再度見直してみましょう。急激にスライドして積立費用が上がるのも酷ですが、突然、請求されるかもしれない一時金を支払リスクも考慮し区分所有者の皆様で、大切に長く安心して住まえる住まいを確保する話し合いの機会を持つようにいたしましょう。
ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。