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【一級建築士監修】マンションの壁紙/床リフォームのコツ

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内装リフォームの醍醐味といえば、自分の思い通りにより快適で綺麗な住まいに変身できることです。中でも壁紙や床は大きな面積を占めますので、一新するとそれだけでお部屋のイメージはガラリと変わります。

この記事では、住宅リフォームコンサルタント/一級建築士で、マンションリフォームマネジャーの資格もお持ちのYuuさんに、“マンションの内装リフォームで押さえておくべきポイント”について、インテリアごとに分けてお話しいただきました。正しい知識を得て、いいリフォームにできるようにしましょう。

Profile:Yuu(本名・尾間紫)
住宅リフォームコンサルタント/一級建築士事務所 OfficeYuu代表
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、事業者向けには「住宅リフォームコンサルタント」としてビジネスサポートをおこない、消費者向けには「住宅リフォームガイド」としてリフォームの実践的なノウハウをテレビやラジオ、執筆、講演会などを通して発信している。

壁紙

張り替えの前に、エアコンや照明器具を確認

壁紙の張り替えでは、まず照明器具、スイッチプレート、エアコンなど壁紙の上についているものをチェックしましょう。壁紙をリフォームするタイミングは、これらの器具を新調するタイミングでもあります。あとで新調する場合は二度手間になってしまうので、どうせなら同じタイミングで新調できるとよいですね。

とくに、壁掛けエアコンを脱着する場合、やはり費用が掛かります。壁紙は10~15年で変える方が多いですが、エアコンの寿命もそれぐらいですので、買い替えの必要がないか一緒に確認しましょう。

実際に部屋に貼って壁紙を選ぶ

壁紙を数cm四方で貼り付けたサンプルブックというものがあり、これを見ながら素材や模様を選ぶのですが、3~4枚セレクトしたらもっと大きなサンプル(30cm四方程度)を業者からもらって、実際に壁に貼って確かめてみましょう。壁紙はその面積によってまったく印象が変わるので、慎重に選ぶことが大切です。

壁紙のリフォームでは、厚手に作られた「リフォーム用壁紙」というものを使います。これは、壁紙を剥がすとどうしても凹凸ができやすく、その跡を目立たせないようにするためです。

壁紙を剥がさないリフォームも人気

最近は壁紙を剥がさないリフォームも人気です。たとえば水性ペイント。この水性ペイントを壁に塗装することで、部屋の印象をガラリと変えることができます。壁紙を張り替えることなく比較的簡単に行えるので若い人の間で非常に人気です。

また、壁紙の上から健康建材(室内の湿度などを調整し健康的に保つ機能を持った建材)のタイルを貼るという手法もあります。ペットの爪痕などが残らなくなりますし、部屋が非常にはなやかな印象になります。

また何よりも、「多孔質」という穴の多い構造なので消臭効果と調湿効果がとても高いのです。単に、壁紙を張り替えるだけが壁紙のリフォームではありません。

フローリングは自分の生活スタイルを基準に選ぼう

マンションの床リフォームでは、防音への配慮が大事なポイントです。マンションの場合、下階へ音が伝わりにくいように、規約によって遮音性能が定められ、仕上げ材の種類や工事方法に様々な取り決めがされている場合があります。まずはそこから確認してみましょう。

基本的にカーペットや畳など柔らかい仕上げ材は、下階に音が響きにくく、フローリングのような硬い仕上げ材は響きやすい特徴があります。

フローリング敷きにする場合は、裏にゴムを張り付けることで遮音性能を高めたマンション用の防音フローリングを使用する方法、またはフローリングの下に遮音材を敷き詰める方法もあります。どちらにしても規定の遮音性能を満たしているか、リフォーム会社とよく相談しましょう。

フローリング材は大きく分けて、一枚物の木でできた無垢フローリング材と、表面にスライスした木を張り付けた合板フローリング材があります。最近では、表面にプリントしたシートを張り付けた手頃なシートフローリング材もあります。

木の場合は、選ぶ木の種類によって特徴が異なります。広葉樹と針葉樹の2種類あり、ナラやメープルなどの広葉樹は硬く傷が付きにくく、パインや桧などの針葉樹は柔らかい足触りが楽しめます。

またしっかりチェックしておきたいのが、表面加工の方法です。表面にコーティングを掛けることで、水やアンモニアに強かったり、傷が付きにくかったり、滑りにくかったりといったような「機能」が付加されているタイプがありますので、生活スタイルにあわせて選びましょう。

たとえばペットを飼っている家であれば、ペットの粗相を考えると水だけでなくアンモニアにも強い表面加工がされたフローリングを選ぶといいでしょう。

お年寄りであれば滑りにくい床が望ましいですね。キャスター椅子を使っているなら、耐キャスターの表示がついた、傷が付きにくいタイプを選びましょう。

このようにフローリングは表面加工の方法で、機能が異なるので、部屋の使用目的や生活スタイルをよく考慮しましょう。

床はインテリアの要。部屋の雰囲気を大きく変える

床はインテリアのイメージを決める要になります。ベージュ系の明るい色を選ぶと、光の反射で部屋全体が明るく感じられるようになります。またホコリが目立ちにくいというメリットもあります。

濃い色のフローリングは重厚感があり、部屋全体が落ち着いた雰囲気になります。手持ちの家具やインテリアに合わせて色選びを楽しみましょう。

床は空間のグレードを支える存在でもあります。ちょっと贅沢したい空間には、無垢板をふんだんに使った質の高いフローリング材を選ぶと、部屋全体が格段に豪華に見えるようになりますよ。

窓・収納

収納は平面ではなく“空間”を生かす

限られたスペースを都合しなければならないマンションでとにかく多いのは、収納の悩みです。そこで重要となるのは、“空間”の使い方。平面では埋まっていても、実は部屋にはデッドスペースがたくさんあります。そのデッドスペースをいかに使うかが重要なポイントです。

たとえば、壁は7、8cmの厚さがありますが、これはいってしまえばデッドスペース。壁面をくり抜いて下地を入れた「壁埋め込み収納」などを本棚やスリッパラックとして使うのもいいですね。

この、いかにして空間の無駄を排除するかというリフォームが今、注目を集めています。

内窓設置で結露対策

建物はその時代時代の性能基準に沿って建てられていますが、その基準は数年ごとに更新されています。つまり古い建物ほど古い基準で建てられているので、断熱性能が低く、結露しやすい作りになっている場合があります。そのため、リフォームの際の工夫で性能向上をしておきましょう。

とくに窓の結露で悩んでいる方にオススメなのが、内窓の設置です。内窓とは、いまあるサッシの内側にもうひとつ取り付ける窓のこと。

結露を防ぐだけではなく、冷暖房の効きが格段に良くなるので、光熱費の節約にもなります。また、内窓は防音効果にも優れます。古いマンションのリフォームの鉄板といえますね。

2017年2月現在、内窓の設置はエコリフォームということで、国から補助金を支給する「住宅ストック循環支援事業」の対象となっています。

「住宅ストック循環支援事業」は循宅のエコリフォームやエコ住宅への建て替えにかかる費用を国が一部負担する制度です。内窓だけに限らず、条件はありますがガラス交換などにも適用され、最大で30万円の補助金が支給されます。申請の際は、事業者にお願いしましょう。

管理規約には必ず目を通そう

以上、一級建築士でリフォームのプロであるYuuさんに壁・床・収納・窓のリフォームについて解説していただきました。

最後にYuuさんは「管理規約を読む必要性」を語りました。戸建てと異なり、マンションのリフォームには制限がかかることも少なくありません。そのルールを知らなければ、思わぬトラブルの加害者になってしまうことも……

リフォームを検討するときは、まずは必ず管理規約をひととおり目を通すようにしましょう。

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