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修繕積立金の相場と値上げの理由を不動産投資アドバイザーが解説

公開日:  最終更新日:2017/03/15

マンションの区分所有者にとって避けては通れないのがマンション修繕積立金です。毎月、管理費とは別に月々数千~1万数千円引かれていく積立金です。

月々1万円でも、単純に計算して10年で120万円になる大きな費用です。マンション購入を検討中の方も、購入済みの方も、その利用用途や性質について正しい知識を得ましょう。

この記事では、不動産投資アドバイザーの大長伸吉さんに「マンション修繕積立金」についてお聞きしました。必読です。

Profile 大長伸吉
ランガルハウス株式会社 代表取締役 アパート経営アドバイザー
世田谷、北関東、多摩新築アパート、中古アパート、新築や中古1Rマンションの不動産賃貸業の経験をもとにしたアパート経営支援をおこなう。宅地建物取引主任者、貸金業務取引主任者、AFP後、2008年ランガルハウス株式会社の代表を務める。

マンション修繕積立金とは

ー本日は、よろしくお願いします。まず、マンションの修繕積立金の定義について教えてください。

マンションには共用部分がありますが、その共用部分が老朽化して修繕が必要になることがあります。ただし、その費用は数百万~数千万。それだけの大金、修繕が必要になったときに急に用意するというのは難しいでしょう。

そこで、毎月1室あたり数千円ずつ集めて、将来の修繕に向けて準備していくのが修繕積立金です。

修繕積立金の相場は、もちろんマンションの規模によっても変わりますが、2014年~2015年のデータですと70㎡あたり約5900円。1㎡あたり84円ほどですね。

ー解説ありがとうございます!そのマンション修繕積立金、実際はトラブルが発生するケースもあると聞きます。

そうですね。トラブルとなる一番の要因は、マンションを売るときと、その後の修繕積立金のギャップですね。

修繕積立金の値段は管理組合が決めるのですが、その際に売れやすいよう、初期の修繕積立金は抑えるケースが多いんですね。年数が経つにつれて高くなるというルールを設ける。そのほうが高い部屋でも売りやすいので、修繕積立金の安さを前面に押し出す不動産が少なくありません。

購入時の注意点

ー修繕積立金が上がることは、マンション購入時には予期できないのですか?

いいえ、いまはほとんどすべてのマンションに長期修繕計画が設定されていて確認することができます。長期修繕計画には、何年後にどのような修繕が行なわれ、費用はどのくらいかという情報が記されています。

ここで記されている修繕費用が明らかに低いようだと、気をつけたほうがいいですね。また、費用が上がるタイミングについてもあらかじめその記載があるはずです。

なので、購入前には「修繕計画」と「修繕積立計画」。このふたつをしっかり確認していれば、不当に修繕積立金が値上がりする物件をつかむことはないはずです。

ーなるほど。購入前に修繕計画を確認することが重要なのですね!そのほかに、購入時のポイントはありますか?

中古マンションを購入したさいには、修繕計画と修繕積立の計画に加えて、購入時点でいくらの積立金が積み上がっているかの確認も重要です。修繕積立金は、オーナーではなく建物ごとに積み上がるので、賢い買い方ができるかもしれません。

例えば12年の修繕計画のマンションを11年目で購入すると、少しの間は設備も古いですが、1年後には綺麗なマンションに住めるかもしれません。そのうえ、そういったマンションは設備の古さから、しばしば安く売り出されています。

ただ、逆に1年しか住んでいないのに莫大な修理費を請求されるケースもありますので、やはり事前の積立状況の確認が大事ですね。確認せずに購入してしまったら、それは自己責任になりますので……。

この修繕積立金の積立状況は、毎年おこなわれる管理組合の総会での会計報告で発表されているので、購入の際には管理組合に聞いて見せてもらいましょう。

一方で気をつけたほうがいいのは、修繕計画や会計報告を見せてもらえない物件ですね。やましい部分があって見せない業者もいるので、避けたほうがいいでしょう。

修繕時の注意点

ー修繕積立金の値上げトラブル以外に、いざ修繕する際に積立金がまったく足りないというケースもあるそうですね。

そうですね。修繕積立計画通りに積み立てていたとしても、積立金が不足することは往々にして起こります。これは、修繕計画を立てたときと実際に修繕する段階とで金額にギャップが生まれているからです。

ただ、ギャップが生まれてしまうのは、見積もりを立てたときの業者が騙そうとしているからではありません。10年、20年前とは使われる素材も変わり、市場も高騰している場合が多いためです。長期で計画を立てる以上、仕方ない面もあるのです。

ーそこを安く修繕するためのポイントなどはありますか?

今まで管理などおこなってくれていたディベロッパーと、ほかの新規の業者を比較するといいですね。

一般に新規の業者のほうが、受注が難しいと知っているため、安い修繕の見積もりを出してきます。

その見積もりと、元の付き合いのあるディベロッパーの出す見積もりを比較して検討しましょう。ただ、比較したうえで、新規の業者のほうがわずかに安いくらいでしたら、昔から付き合いがある業者を選ぶべきだと思います。そのマンションについてほかのどの業者よりもわかっていますからね。

また、修繕計画とのギャップを小さくするために、修繕計画の見直しは3~5年ごとにこまめにするといいですね。実際、この修繕計画の見直しは毎年の管理組合の総会で議題に上がるはずです。当事者意識を持って、総会に臨みましょう。

ーもし修繕積立金の額などに不満がある場合はどうすればよいのでしょうか。

基本的に、修繕積立金の変更については、マンションの管理組合全員による総会で決める事項なので、もしどうしても不満があれば決議するのもひとつの手です。ただ、一度総会で決定したら、修繕積立金の値上げにひとりだけ反対はできません。

そもそも、総会に参加する管理組合の人は全員が修繕積立金・管理費を払う立場です。誰が得するか、損するかという話ではありません。基本的には平等なのです。

もしどうしても納得できない場合、管理組合は1年中相談を受け付けているので、そちらに相談してみてもいいでしょう。

まとめ

最後に、マンション修繕積立金についての注意点を、購入時と修繕時に分けて簡単にまとめます。

購入時は、「修繕計画」と「修繕積立計画」をしっかり確認しておきましょう。また、修繕積立金の積立状況についての情報も見逃せません。

修繕時は積立金が不足するケースもあるので修繕計画のこまめな見直しをして早めの対策を行いましょう。

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