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暴走する理事会によりマンションを去る人々

公開日:  最終更新日:2014/11/28

暴走する理事会

前回の続きです。さて。新理事長Cさん、副理事Dさんで始まった2年目の管理組合で取り組まれた最初の事案は空きが目立つ駐車場についての意見交換会でした。ナビ美の友人Aさんは駐車場賃貸者の一人として「駐車場問題設置委員会」のメンバーの一人として招待されたそうです。

マンション駐車場を外部に貸すことはデメリットが多い

Aさんは資産価値が下がる点、セキュリティが甘くなる点、時間貸しの部分と区分所有者利用中の駐車スペースが混在する為、誤認等で区分所有者の駐車スペースを利用される懸念などを上げて駐車場誘致には反対意見を唱えていました。

Aさんからの依頼でマンションの収支報告書を見せていただいたのですが、管理費の中に駐車場使用料が含まれておりましたので、収支内容的には黒字という状況です。

空きが目立つといっても現実的に急を要する問題ではなく、まず修繕計画がきちんと設計されているのか?を確認し、修繕積立金の算出と不足が生じた時点で駐車場の空きについて話し合えば良いのではないですか?とAさんにアドバイスさせて頂きました。

その後の経過を聞きに行くと設立された委員会に呼ばれた事がなく、いつの間にか委員会は解散しており、手元に頂いたのはコインパーキング各社の見積もりであったのだそうです。

強引に可決されてしまうコインパーキング案

Aさんを含め駐車場を使用している区分所有者は、コインパーキングを反対していたにも関わらず、反対意見に対する具体的案も提出されないまま、駐車場誘致案は可決されていたのだそうです。

管理会社フロントに確認を取ると、フロントマンはパーキング案は資産価値を落とす結果となる事や、駐車場使用者が揃って反対案を出しているのに事案を進めてはいけないと忠告したのだそうです。

しかし、暴走する管理組合は忠告を無視し、駐車場の一部をコインパーキングにしてしまったのだそうです。コインパーキングの看板は24時間ライトで照らされており、その明かりは2階住民のベランダを照らしています。

2階居住者は総会に出席されていらっしゃらなかったらしく、安眠妨害のクレームを管理組合に申し立てられたのだそうですが、「あなたは議案に書面賛成しています」で取り合ってもらえず、管理組合との間でこう着状態が続いているそうです。

Aさんは「コインパーキングの使用トラブルがあった場合や想定している利益が得られない場合はどうするのですか?」と管理組合に質問したところ、「問題が発生したり利益が出ない場合はコインパーキング契約を止めればいい」と短絡的な返答があったそうです。

マンションを去る区分所有者

Aさんのマンションでは、管理体制に問題を訴えていた方々がマンションを去り、どんどん賃貸化も進んでいるようで「見た事のない人が出入りしている」と嘆いておられました。

3回目の総会時に管理組合役員の交代があったのだそうですが、役員の半数が残留し交代を余儀なくされた役員の代わりは残留役員が指名した方がなられたそうです。

マンション立地や工夫が凝らされた室内デザインに魅了されて購入されたマンションでしたが、理事会にもマンションにも嫌気が差したAさんは賃貸化を検討されていました。

ここに至るまでの状況をヒアリングしていたナビ美としては、現状の管理組合が運営するマンションでは今後もトラブルが予想される事を示唆し「住む気がないなら売却を」と薦めました。

Aさんのマンション管理組合では次に管理会社の変更を検討されているようですが、現状の管理組合のままでは管理会社が変わったとしても良い方向に進むとは思えません。

良く耳にする「マンションは管理を買え」と言われますが、どれほど評判の良い管理会社が尽力しても「管理組合の力量次第で資産価値ががた落ちする」というちょっと空恐ろしい実話でした。

ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。

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