管理規約を知ればトラブル知らず
マンションと戸建ての違いの一つとして「管理規約」というルールブックが存在する事が知られております。この管理規約を巡って様々なトラブルがあるといわれておりますが、どのようなトラブルがあるのか?
そもそも、この管理規約には何が書かれているのか?どこを注意して読めばよいのか?ご自身が巻き込まれない為にも気をつけておくべきポイントを回を分けてご紹介して参りましょう。
そもそも管理規約って何?
日本にマンションが登場しだした昭和30年後半~40年代のマンションには存在していなかった管理規約ですが、現在の様にマンションが国民の居住形態のメインとして位置づけられるようになると、マンション自体が「個人の資産」というだけでなく「社会の資産」となってきております。
マンションが建設される事で周辺地域の人の流れが変わり地域経済も発展していく事から、国としてもマンションの維持管理は日本経済を変化させる関心事となりますので、国土交通省が「標準管理規約」というマンション維持管理のガイドラインを発表したのが、「マンション管理規約」の始まりとなっています。
築年数が経過しているマンションでの注意
築年数が経過したマンションで管理組合や管理規約が無いのは、上記のガイドライン発表前のマンションである事がほとんどなのですが、近年では資産価値向上に対する関心が高まり、今までなかった管理規約の導入や管理組合を発足させるマンションも増えてきております。
今までルール付けがなかったマンション住民にとっては、入居者自身のマンションライフに適合せず、例えば「ペットに関するルールがなかったのに、突然ペット禁止になった」「ベランダでの布団干しが禁止になった」などでトラブルに発展しているケースもあるようです。
また、国土交通省のガイドラインをそっくりそのまま規約として利用されており、経年時の法律変更などに対応していない為に、いざという時に規約が邪魔をしてスムーズなマンション維持管理が出来ないというケースもあるようです。
管理規約には何が書かれている?
家族構成や年齢、価値観などが異なる人が一つの建物の中で生活をするのですから、それぞれが自分の価値観を貫いて自由に暮らしてしまうと健全な生活は出来ません。
そこで、全員が守るルールとして必要最低限のことを「管理規約」や「使用細則」などにルールとして記載されているのです。
基本的に管理規約には、「建物の用途・区分」「管理組合の業務内容」「管理組合の運営方法」「管理費・修繕積立金の使途」などマンションの維持・運営について記載されています。
生活をする上で守るべきルールは「使用細則」に記されています。管理規約や使用細則の効果が及ぶのはマンション敷地内と付属する施設のみで、区分所有者はもちろん、その相続人や賃貸されている占有者にもルール遵守は適用されます。
賃貸が多いマンションなどはトラブルを避ける為にエントランスなどの目に付きやすい場所に使用細則などを閲覧できるように設置するとよいかもしれません。
新築時のデベロッパーが準備する管理規約は一般的に「原始規約案」と呼ばれており、国土交通省のガイドラインとデベロッパー独自の内容が盛り込まれている事がありますので、ガイドラインとの違いは何かを確認しておきましょう。
この最初の管理規約を元に、マンションごとのルールを管理組合を通じて加筆・削除・訂正をし、オリジナルの管理規約を作成していきます。
変更できない規約
管理規約の中には区分所有法で定められた事項がありますので、そのルールについては管理組合で全員一致の変更や廃止を決定しても絶対に変えられない事項があります。
これは全てのマンションの管理規約の中に含まれていて例外はありません。例えば管理規約の設定、変更、廃止や建替えの議決要件は変更廃止が出来ません。
総会議事録の作成は絶対必要となっておりますので、記録が無いものは規約違反となります。
変更できる規約
管理規約の設定・変更・廃止は議決権総数の4分の3以上の賛成で出来ます。例えば共用部分についての規約や議決権要件などや理事会の設置、管理費や修繕積立金の算定方法、駐車場の使用方法などです。
日常生活における細々した注意事項については「使用細則」に記載しますが、こちらのルール変更は原則として過半数の賛成で変更する事ができます。
ライター:マンションナビ美
不動産系会社勤務を経てフリーで活躍。自身も分譲マンションのオーナーとして、大規模修繕や、理事会役員を経験する。実体験からマンション業界を分かりやすく解説する。